ノスタルジーと希死念慮 ①
夕暮れ。
幼い自分が布団の中で、閉じたカーテンを眺める。
複雑な模様があしらわれた赤茶のそれは夕焼けの紫を吸収する。
そして、暗く、寂しく、しかし暖かく寝室を色付ける。落ちて時間のたった落ち葉を空気に溶かしたような色だ。
「寂しさ」と「暖かさ」は共存し得る感情なのだろうか。矛盾を孕んでいるように思えるが、本当にそうなのだろうか。一人でいるから寂しい、布団に入っているから暖かいというような一対一で事象と対応されて感情が生まれるのではない。
カーテンから漏れ出す光の色味、カーテンにあしらわれた模様、夕暮れ時、布団、空気、幼さ
それぞれが複雑に絡み合い、「寂しさ」と「暖かさ」が生まれたのだ。